インバウンド・多言語対応

飲食店・観光施設のよくある質問を自動化する|分類・ナレッジ化・多言語対応の進め方

飲食店・観光施設に届く質問の大半は、「営業時間」「アクセス」「メニュー」「支払い方法」の4種類に集約されます。つまり、質問を分類して資料にまとめれば、その多くはAIチャットで自動化できます。しかも日本語の資料1つで、英語・中国語・韓国語・タイ語の質問にも答えられます。本記事では、質問の分類からナレッジ化の型、多言語で答える流れまでを、現場で実行できる手順として解説します。

外国人観光客の質問はパターン化している

電話やSNSのメッセージ、店頭での質問を思い返してみてください。「今日は開いていますか」「駅からどう行けばいいですか」「ベジタリアン向けのメニューはありますか」「カードは使えますか」。聞かれる内容は毎回ほとんど同じで、答えも決まっています。

そして、この定型質問への対応負担は今後も軽くなる見込みが薄いのが実情です。

日本政府観光局(JNTO)の推計では、2026年上半期(1〜6月)の訪日外客数は約2,108万人。2026年3〜6月は多くの市場で単月として過去最高を記録しています(2026年7月時点の公表値)。 出典: JNTO 訪日外客統計

訪日客数が高い水準で推移する一方、現場の人手は簡単には増えません。「同じ質問に、営業中の手を止めて、外国語で答える」という構造そのものを変える必要があります。

ステップ1: 質問を4つに分類する

まず、実際に受けた質問を書き出し、次の4分類に仕分けます。分類ごとに、回答の性質と更新頻度が異なるためです。

なお、入場料が日付によって変わる施設では、料金の扱いだけ別の設計が必要です。金額そのものを資料から答えさせると誤案内になるため、料金が日によって変わる施設の「いくらですか」にどう答えるかを先にご確認ください。動物園・水族館のように料金の条件分岐が多い施設は、動物園・水族館の多言語案内で業種別に整理しています。

分類質問の例更新頻度
営業・予約営業時間、定休日、予約の要否、待ち時間の目安変わりやすい(要更新ルール)
アクセス最寄り駅からの行き方、駐車場、荷物置き場ほぼ変わらない
メニュー・サービスおすすめ、アレルギー表示、ベジタリアン/ハラール対応の有無、写真撮影の可否季節で変わる
支払い・ルール使えるカード・QR決済、免税、チップ、キャンセル規定、マナーほぼ変わらない

書き出してみると、全体の質問のうち回答が一意に決まるものがどれほど多いかが分かります。ここが自動化の対象です。逆に「団体予約の相談」「取材依頼」のような個別判断が必要な質問は、人につなぐ質問として分けておきます。

ステップ2: 1問1答の「型」でナレッジ化する

分類した質問は、次の型で1問1答に書き起こします。この型を守るだけで、AIの回答精度は大きく安定します。

  • 質問は来訪者の言葉で書く — 「営業時間を教えてください」ではなく「今日は何時まで開いていますか」のように、実際に聞かれた表現で書く
  • 回答は条件を明示する — 「カードは使えます」ではなく「Visa・Mastercardが使えます。現金のみのメニューはありません」のように範囲を特定する
  • 例外を必ず書く — 「祝日は営業時間が変わります。最新はトップページのお知らせをご覧ください」のように、例外時の確認先を添える
  • 判断が必要な質問の受け皿を書く — 「10名以上のご予約はお電話でご相談ください」のように、人への導線を用意する

資料の形式は、PDF・Word・テキスト・Webページのいずれでも取り込めるのが一般的です。すでにホームページに「よくある質問」ページがあるなら、それを土台に不足分を足すのが最短です。

ステップ3: 日本語の資料1つで多言語に答える

多言語対応のために英語版・中国語版のFAQを別々に作る必要はありません。私たちが提供するPersora Connectの場合、日本語のナレッジを1つ取り込めば、閲覧者が画面の言語切替で選んだ言語、またはブラウザの言語設定に合わせて、英語・中国語(簡体字/繁体字)・韓国語・タイ語で回答します。多言語対応は全プラン標準で、追加料金はありません。

ただし、翻訳と多言語応答は生成AIによるもので、正確性は保証されません。アレルギー情報や料金など間違いが許されない項目は、原語や公式情報の確認を促す一文を回答に含める運用が安全です。仕組みの詳細は日本語のFAQ1つで英語・中国語・韓国語に対応する方法で解説しています。

答えられない質問への備えが品質を決める

自動化でつまずく施設の多くは、「答えられる質問」の精度ではなく、「答えられない質問」の扱いで失敗します。生成AIである以上、誤回答の可能性はゼロにはなりません。だからこそ、次の2つを確認してください。

  1. 資料に無いことは答えない設計か — 会社・店舗の資料だけを根拠に回答し、無い場合は推測せずに「分かりかねます」と返し、電話や店頭に案内する方式(RAG)であること
  2. 答えられなかった質問を確認できるか — 未回答レビューの機能で「何を聞かれて答えられなかったか」を確認し、資料に追記していけること

この2つが揃うと、運用は「質問が来るたびに対応する」から「月に一度、答えられなかった質問を資料に足す」へと変わります。ナレッジは使うほど育ち、回答できる範囲が広がっていきます。

小さく始めるための現実的な順序

最後に、着手の順序をまとめます。

  1. 直近1か月に受けた質問を書き出し、4分類に仕分ける
  2. 件数の多い上位20問を1問1答の型で日本語資料にする
  3. デモ環境で回答ぶりを確認する(FAQを1つ送れば無料の専用デモを作成でき、資料はデモ後に完全削除されます)
  4. 自社サイトに設置し、言語別の内訳と未回答レビューを月次で確認する

導入は資料さえ用意できれば最短1〜2週間程度です。人手の確保が難しい前提で外国語対応をどう成立させるかは、外国語の問い合わせ対応が人手不足でも回る3つの方法も合わせてご覧ください。定型質問を仕組みに任せ、人にしかできない接客に時間を戻すことが、この取り組みの本当の目的です。

よくある質問

英語のFAQを別に作る必要はありますか?

日本語のナレッジを1つ用意すれば、閲覧者が選んだ言語やブラウザの言語に合わせて英語・中国語・韓国語・タイ語で回答できる仕組みがあります。

メニューや営業時間が変わったらどうすればよいですか?

根拠となる資料を差し替えれば回答も更新されます。変わりやすい情報ほど資料の更新ルールを決めておくことが大切です。

答えられない質問が来たらどうなりますか?

資料に無い質問には無理に答えず、電話や店頭への案内を返す設計にできます。答えられなかった質問は後から確認し、資料に追加していく運用が有効です。

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